目的地へ移動中のヒント
海外出張では仕事に専念するために、仕事以外のストレスはなるべく軽減したいものです。目的地に向けての移動中にも、簡単な工夫で低減できるストレスがあります。移動中でのちょっとしたヒントを紹介します。
- 1~2週間程度の海外出張を予定している方
- 海外観光旅行の経験はあるが、海外出張の経験が少ない方
- 仕事以外のストレス軽減のためのヒントを探している方
飛行機搭乗中
海外出張での移動時間の大半を占めるのが飛行機に搭乗している時間です。長距離路線でのストレス低減に有効なちょっとした工夫がありますので紹介します。
客室乗務員や隣の乗客への挨拶
日本の空港から搭乗した場合でも、外資系エアラインの機内はすでに外国です。日系エアラインに搭乗する場合とは少し違った配慮が必要だと思います。適切なマナーを守れば周辺の雰囲気も柔らかくなり、結果的にストレス低減に有効です。
飛行機に搭乗する際は、飛行機のドア直後で客室乗務員(外資系エアラインではCabin crew, Flight Attendant、主に日系エアラインではCabin Attendant)が乗客を迎えてくれます。多くの日本人乗客は、彼ら/彼女らの前を無言で通過して自分の座席に向かいます。これとは対照的に、ほとんどの外国人の乗客は客室乗務員に短い挨拶をしています。私は外国人のやり方が国際標準のマナーだと思います。
外資系エアラインでは、客室乗務員のほぼ全員が外国人ですので、搭乗の際は「彼ら/彼女らの目を見て笑顔で短く挨拶する」事をお勧めします。
座席に着いたら、隣の乗客にも挨拶しましょう。長距離路線の場合は長い時間を共に過ごす事になるので、最初に挨拶しておくとお互いにリラックスできて搭乗中のストレスが低減します。隣の乗客が外国人の場合は、挨拶に一言付け加えてお互いの英語のレベルを確認しておくと、お互いに安心感を得られます。
挨拶をきっかけに、隣の方と話しがはずんだ事もあります。孤独感と長時間移動によるストレスが低減できました。ただし話し声が他の乗客への迷惑にならないように配慮するとともに、往路では自分の機内での睡眠計画はしっかり守りましょう。
現在は(2022年12月)新型コロナ(COVID-19)対策として、乗客どうしの会話を制限しているエアラインがあるかもしれません。客室乗務員から会話について指示がある場合は、その指示に従います。
腕時計を現地時間に合わせる
飛行機に搭乗して座席に座ったら、腕時計を現地時間に合わせます。飛行中にときどき腕時計を見て現地時間を頭に擦りこみます。これにより現地での時差ボケを少しでも軽くします。
機内でもパスポートは身に着けておく
飛行機の機内でもパスポートは身に着けて、機内での盗難にあわないようにします。長距離便では途中で機内の照明が暗くなりますし、時差ボケ軽減のため睡眠もとります。パスポートを座席の前のシートポケットに入れたり、鞄に入れて座席頭上のオーバーヘッドコンパートメントに入れておくと、パスポートが盗難にあうリスクが増加します。
現地空港からホテルまで
現地空港に到着したら、いよいよ海外での活動が開始です。長時間飛行による疲労や時差ボケで注意力が落ちていますので、意識して緊張感を上げて頭を働かせましょう。ストレスなくホテルに到着するためのヒントを紹介しますので参考にしてください。
空港ビルに入った直後の掲示に注意する
日本を出発して長時間が経過しているので、現地の交通機関の運行状況が変化している可能性があります。
乗継便が欠航になったり、何等かの事情で乗継時間が短くなっている場合は、飛行機を降りて空港ビルに入った直後の場所に臨時のメッセージボードを設置して(場合によってはエアライン地上職員がメッセージボードを掲げて)、影響を受ける乗継客に情報提供している場合があります。あなたも該当者かもしれないので、見落とさないように注意します。
臨時メッセージボードが無い場合でも、気を緩めずに早期に空港内のフライトインフォメーションボードを確認して、乗継便の運航予定に変更が無い事を確認します。
空港から鉄道を利用する場合は、スマホで鉄道の運行状況も確認しておきましょう。万一運休となっている場合は、別の交通手段に切り替えるか、急遽空港近くのホテルに宿泊する必要があるかもしれません。
なるべく早く荷物受取所(Baggage Claim)に到着する
前回説明したよう、空港の荷物受取所(Baggage Claim)では、だれかがスーツケースを間違えて受け取ったり、故意に盗んだりする可能性があります(スーツケースの紛失に関する記事はこちら)。これを防止するために、早めに荷物受取所(Baggage Claim)に到着して自分の荷物が出てくるのを待ち構えている事が有効です。
国際線では、「降機」→「入国審査(Immigration または Passport Control)」→「荷物受取所(Baggage Claim)」の順で進みます。どこの国でも入国審査は行列して並びますから、降機したらお店等には立ち寄らずに入国審査に直行しましょう。入国審査を早く通過すれば、それだけ早く荷物受取所(Baggage Claim)に到着できる事になります。
入国審査での書類を準備しておく
入国審査官から入国目的を問われます。
商用目的で入国する場合は観光目的で入国する場合に比べて、入国審査の質問数が2~3割増しになるように感じます。審査官は「商用目的ならこの人は英語を話すだろうからしっかり質問しよう」と思うのかもしれません(想像です)。
入国審査をスムース通過するために、次に示す書類は必要となったらすぐに審査官に提示できるように準備しておきます。入国審査では審査官から問われた事に答えるのが原則ですから、これらの書類は必要となった場合に提示します。パスポートは例外で最初から提示します。
- パスポート
- 帰国用航空券、乗継便の航空券(e-チケットを印字しておきます)
- ホテルやレンタカーの予約エビデンス(予約確認メール、Web予約画面のハードコピー等)
- 出張日程表(様式自由。訪問先の場所、時間、移動手段、宿泊先を英語か現地語で記載した物)
「4.出張日程表」は、入国審査官から「いつ、どこで商談をするのか?」と問われた場合に、正確に答えるための自分用のメモです。地名等の固有名詞は発音が悪いと通じない場合があるので、その場合は日程表の該当箇所を指さして答えられるように英語または現地語で作成しておきます。
なるべく食事は空港で食べる
入国審査、税関、検疫が終了して空港の一般エリア(Landside)に出たら、空港内で食事をすることを検討しましょう。
そのままホテルに移動しても良いのですが、初めての土地でレストランを見つけるのに苦労する場合があります。空港内ならレストランの選択は容易ですし英語も通じますから、多少高額ですがお腹を満たしておくと良いです。
空港の売店で水とスナックを購入しておく
空港の売店でペットボトルの水とビスケット等のスナック菓子を購入しておきましょう。スナック菓子は非常用食糧として購入しておきます。
海外ではコンビニや自動販売機が少なく、商店の閉店時間は早く、日曜日は一般の商店が休業する国もあるので、空港を離れると水やスナックを入手しづらくなる場合があります。
空港からホテルまでの移動手段は安全優先で選択する
出張者が空港からホテルまで移動する間は、全財産を持っている上に、荷物が多いので走って逃げる等の危険回避のための敏速な行動ができません。犯罪者の立場から見ると、空港からホテルまでの移動者は狙いやすい獲物になります。
現地に知人がいれば、空港まで迎えに来てもらうのが最も安全です。次善の策は、ホテルの送迎バスがあれば、これを利用する事だと思います。これらが不可能な場合は、ネットで安全な移動手段を調べておきましょう。ネットには、空港からの移動手段別の注意点等が多数アップされています。特に客引きをするタクシーの安全性については、事前に十分調査しておきます。
空港から電車を利用する場合は、駅で切符を買う時が(荷物の盗難に対する注意力が薄くなるので)危険だと感じています。事前に動画サイト等で切符の買い方を調査しておきましょう。レンタカーの場合はカウンターで手続き中の荷物の盗難に十分注意します。
海外では、駅に改札ゲートが無い場合があります(つまり、切符を買わなくてもホームに入れる)。この場合は購入した切符を駅の打刻器に挿入して切符に日時を印字する必要があります。切符を購入しただけで打刻せずに乗車し、検札巡回でこれが発覚すると「不適切乗車。罰金!」となりますのでご注意を。例外もあるかもしれませんので、利用予定の鉄道についてネットで乗車方法を調査しておきます。
終わりに
これで合計5編の「海外出張で成果を上げるための準備」を終わりにします。読んでいただき、ありがとうございました。これらに記載した各種のヒントが少しでもみなさんのお役にたてれば幸いです。
海外出張は商談力に加えて、事前準備、リスク管理、想定外の事態への対処、とビジネスパーソンの総合力を問われる業務だと思います。また、困った時の見知らぬ現地の方からの親切は心に染みます。特に若手の方にとっては、海外出張はビジネスパーソンとしても、人間としても、大きく成長するよい機会だと思います。
留意いただきた事項
海外出張の準備や税関申告、現地での業務はご自身の責任と判断で実施してください。このWebサイトに掲載された内容によって生じたトラブルや損害等については、一切の責任を負いかねます。このWebサイトの免責事項はこちらでお知らせしています。併せてご確認ください。