海外出張での飛行機の選び方
海外出張で成果を上げるには、移動による気力と体力の消耗を最小限にすることが重要です。現地までの移動時間の大部分は飛行機が占めます。このため特に往路については飛行機の選び方が重要となる場合があります。国際線での代表的な移動リスクとリスクの最小化方法についてのヒントを書いていきます。
留意いただきたい事項
このブログは新型コロナ感染症(COVID-19)の発生以前の状況に基づいています。空港におけるコロナ陰性検査(PCR検査等)の実施有無と所要時間については考慮していません。各空港の検疫当局から最新で正しい情報を入手して移動計画を立ててください。
飛行機は直行便を選択する
飛行機は直行便が第一選択です。直行便は次に示すようなメリットがあるので乗継便よりも移動に伴うリスクが小さく、海外出張に適していると思います。
- 目的地までの移動時間が短い
- 飛行機を乗り換えるための時間が不要なので、移動時間全体を短縮できます。これにより移動による疲労を軽減できます
- 乗継便に乗り遅れる心配が無い
- 一本目の飛行機が遅延して乗継便に乗り遅れると、最終目的地への到着時間が大きく遅延して出張に与える影響は大きくなります。直行便であれば乗継自体がありませんので乗り遅れリスクはありません。
- 預入荷物の到着遅延や紛失のリスクが小さい。
- 日本の搭乗チェックインカウンターで預けた荷物を目的地の空港で受け取れない場合があります(Lost Baggage)。原因は預けた荷物が誤った飛行機に積み込まれてしまう事であり、発生確率は荷物200個から300個に1つ、と聞いたことがあります。飛行機の乗換回数が増加すると荷物の積み替え回数が増加するので預入荷物の遅延や紛失のリスクも高まります。
飛行機の乗継が発生する場合の注意点
直行便が就航していなかったり、直行便が満席の場合等は乗継便を使う移動プランとなります。この場合の飛行機選定のヒントを記述します。
乗継便がある場合は航空券を最終目的空港まで通しで買う
乗継便を使用する場合は、航空券は最終の目的空港まで通しで買いましょう(全ての便を同じエアラインか同じアライアンスのエアラインにして、同じ予約番号で往路のすべての航空券を一括で購入しましょう)。
通しで航空券を購入すれば、一本目の便が遅延して乗継便に乗り遅れた場合には、原則として航空会社が代替便の手配をしてくれます。
一本目の便と乗り継ぎ便を別々に購入すると、運賃が安くなる場合もあります。しかし、乗継便に乗り遅れた場合の代替便の手配サービスが受けられなくなり、自力で事態に対処する事になります。海外出張では、移動トラブルによる気力と体力の消耗は最小限にすべきであり、多少運賃が安くても別々の航空券購入は避けるべきです。
(参考:一本目の便と乗り継ぎ便を別々に購入した場合でも、搭乗予定の全てのエアラインに乗継計画を事前に説明しておけば、遅延による乗遅れ時の代替便の手配サービスが受けられると聞いた事があります。ただしこの場合でも事前の乗継説明について「言った/聞いていない」問題の発生や、複数にわたるエアラインの責任の所在が曖昧になりやすいので、やはり海外出張では航空券は通しで買うべきだと思います。)
乗継便がある場合は乗換時間を十分に確保する
乗換空港での乗換時間は十分に余裕を持たせることが必要です。各空港にはの乗換の種類毎(国際線→国際線、国際線→国内線、等)に「最低乗継時間 MCT(Minimum Connection Time)」が設定されています。通しで航空券を購入する場合は、乗換時間がMCTを満足するように航空券が発券されます。また、乗換空港の実情に疎い旅行代理店さんから「MCTを満足しているので乗継時間は心配不要です」との説明を受ける場合もありました。
しかし実際は「最低乗換時間(MCT)が短すぎて実情に合っていない」場合があります。
私が乗換時間がMCTギリギリとなる航空券予約をして移動した時のことです。海外の乗換空港の入国審査は長蛇の列、税関の申告カンターは全職員対応中で「しばらく待て」。空港のエリア移動のため一旦制限区域を出たため再度セキュリティーチェックの列に並ぶことに。乗継便は機材までバス移動のため、搭乗ゲートは出発時刻の15分前に閉まるとのアナウンスが。広い空港内を走って移動し、ギリギリ乗継便に間に会いました。体は汗、心は冷や汗でした。
この経験以来、特に出張往路で国際線から飛行機を乗換える場合は、たとえMCTが短くても、最低2時間、標準で3時間の乗継時間を確保するように乗り継ぎ便を選びます。
日系エアライン
日系エアラインは外資系エアラインと比較して運賃が高い場合があります。しかし日系エアラインには次に示す特徴があるので、特に出張往路の移動にはお勧めです。
- 出発遅延が少ない
- 一般論として、日系エアラインは外資系エアラインよりも、日本国内に多くの予備機材を持っています。もし折返し使用予定の機材の日本到着が遅れたり、使用予定の機材が故障した場合でも、日系エアラインは予備の機材を使用して定刻に運航してくれる可能性が高くなります。
- 機内温度が日本人に適している
- 外資系エアラインは客室が寒すぎる場合が多いと感じています。
- トラブル時に日本語での支援が期待できる
- 例えば乗継便に乗り遅れる等のトラブルが発生した場合、現地の日系エアライン地上職員から日本語での支援が期待できます。
- ストライキによる欠航が少ない
- 日系エアラインは外資系エアラインよりも従業員のストライキによる欠航が少ないです。
現地のホテルに午後から夜早めに到着するように飛行機を選択する
現地での会議当日の交通機関の乱れに備えて目的地の近くのホテルに宿泊するのは国内出張と同じです。ホテルのチェックイン開始時間や、交通機関の遅延による深夜のホテル着を回避するために、現地ホテル到着が午後から夜早めとなるように飛行機の便を選択します。
長時間飛行となる場合は往路はできるだけビジネスクラスを選択する
これは会社との交渉が必要となる場合があると思います。
飛行時間、時差、運賃を総合的に考えて座席のクラスを決めます。時差が大きい国に出張する場合は、現地到着直後1~2日間は時差ぼけになります。時差ぼけを少しでも軽くして業務に集中するため、現地時間に合わせて機内で眠る事が効果的です。この点でフルフラットになるビジネスクラスのシートは良質な睡眠に有利です。
私は50代後半を過ぎた頃から長時間移動が体に応えるようになりました。10時間のフライトを狭いエコノミークラスのシートで過ごすと、到着時は疲れでグッタリします。この疲労が到着後の仕事の質に影響してきます。
会社の出張規則がビジネスクラスの使用を認めていない場合でも、時差の大きい国に出張する場合は、往路便だけでもビジネスクラスを使用できないか交渉することも、良い出張成果を上げるためには有効だと思います。次善の策としてプレミアムエコノミークラスでもエコノミークラスよりは疲労が軽減できます。(ただし、もし出張で成果を上げられなかったら、あなた評価が大きく下がるリスクが発生します。。。)
会社と交渉してもエコノミークラスしか許可されない場合は、(サラリーマンですから)会社の指示に従います。そして現地到着から1~2日間のスケジュールが過密にならないように計画して、時差と疲労回復に努めます。