海外出張で成果を出すには準備が大切
アラ還暦のサラリーマンです。コロナ過前は年に2~3回、海外に出張していた時期がありました。
コロナ禍により、ほとんどの企業において海外出張は激減しまたが、最近は、コロナ禍対応としての入国規制を緩和する国も出てきました(2022年6月時点)。今後は、海外出張を再開する企業が増えてくると思います。
海外出張期間中は日本とは異なる文化の中で生活して仕事をしますので、このために生じる様々なトラブルに自分で対処していかなければなりません。しかも、会社が費用をかけて実施するので、出張者は十分な成果を上げる事が求められます。そのためには、「現地への移動」「現地での生活」「現地でのビジネス」の各面で国内出張とは異なる事前準備と工夫が必要だと感じています。
このブログでは、「現地への移動」に焦点を当てて、出張成果を上げるためのヒントを書いていきます。海外出張を予定されている方に、少しでも参考になればと思います。
- 1~2週間程度の海外出張を予定している方
- 海外観光旅行の経験はあるが、海外出張の経験に乏しい方
- 海外出張の成果を上げるために、「現地までの移動」に関するヒントを探している方
海外出張の準備のポイントはリスクの想定と対処
予定とおりに、良い体調で目的地に到着することが良い成果につながります。準備の基本は、移動時に生じる「予定と体調を崩す各種リスク」の想定とリスクの低減です。事前にリスクを想定して対処するには時間が必要です。出張準備は早期に着手しましょう。
交通費、宿泊費、保険、人件費を考えると、海外出張は会社にとって費用のかかる事業活動です。費用対効果を考えて、あと少し費用をかければよりリスクを低減できたり、より大きな成果が期待できる場合は、会社を説得して費用を認めてもらう事も重要です。そのかわり必ず良い出張成果をださなければなりません。
注意事項 (コロナ対策に関する記述はありません)
このブログでは、「現地への移動」に焦点を当てています。以下の点についての記述はありませんので、これらの点については別途、皆様ご自身で最新で正しい情報を取得して準備を進めててください。
- 新型コロナ(COVID-19)の対応方法(例えばPCR検査、陰性証明等)
- 海外でのビジネススキル(例えばプレゼンテーション、会議や商談の進め方等)
渡航のための公的手続き(パスポート、ビザ、電子渡航証明、カルネ)
有効なパスポートと、必要な場合は適切なビザ、電子渡航認証、予防接種証明が無いと、日本の空港を出発する際に国際線への搭乗を拒否されたり、出張先の空港での入国審査で入国を拒否される可能性が極めて高くなります。こうなると出張先の国に入国できず門前払いとなってしまい、海外出張に重大な支障をきたすことになります。
現在の世界情勢(感染症、紛争等)を考えると、各国が入出国や税関に関する規則を頻繁に変更する可能性もあります。海外出張を成功させるために、必ず「最新で正確な情報」を入手して準備しましょう。また、手続きには時間を要する事項もあるので調査と行動は早期に開始しましょう。
パスポート
パスポートは、観光旅行でもおなじみですね。パスポートは「あなたが日本国籍を有してる事の証明書」であり、日本出国および出張先の国に入国、滞在する際に必ず必要です。発行するのは日本の外務省(具体的には自治体のパスポート窓口)ですので、不明点はこれらの機関に問い合わます。
パスポートに関して私が気を付けている点は以下の通りです。
- 有効期間:出張が終了して帰国する時点で、パスポートの有効期間が一定日数以上残っている必要があります。 必要な日数は国により、またビザの種類により異なりますので入国を予定している国の在日大使館のWebサイト等で正確な情報を調べます。(参考:パスポート残存有効期間に関する外務省ホームページはこちらです。)
- パスポートの破損:写真や記載事項が汚れている、落書きやメモ書きがある、ページが破けている等の場合は、自治体のパスポート窓口にパスポートを返納して再発給を受けておきます。もし出張先の入国審査官が「このパスポートは破損しているので無効である」と判断すると、入国を拒否される恐れがあります。(参考:パスポートのメモ書きに関する外務省のホームページはこちらです。)
- 余白:パスポートの査証欄には入出国スタンプを押すためのスペースが必要です。過去の入出国スタンプが沢山押されているため査証欄の空きスペースが残り少ない場合は、地方自治体のパスポート窓口で査証欄増補の手続きを行い査証欄のページ追加を行います。
海外出張に出発する当日の自宅での最終持ち物点検で、持参しようとしていたパスポートが古いもの(有効期限切れ)である事に気付いて冷や汗をかきました。もし気付かなければ空港で国際線の搭乗を拒否され、自宅まで正しいパスポートを取りに帰る事態になるところでした。予約していた飛行機には間に合わず出張計画が台無しになります。
古いパスポートには無効である事を示すパンチ穴が空けてありますが、全てのページにパンチ穴が空けてあるのではありません。パスポートをチラッと見て、パンチ穴だけをたよりに新旧パスポートを区別するのは危険です。これ以来、必ずパスポート本体に記載されている有効期限を確認する事にしています。
ビザ
以下に記載してあるビザに関連する事項はコロナ禍前の情報です。現時点(2022年6月)では多くの国でコロナ対策としての特別な入国規定を設けています。
コロナ禍の収束に伴いビザの規定も徐々にコロナ過前に戻ると思いますが、今はその過渡期ですので、必ず「最新で正確な情報」を入手して準備しましょう。
ビザは、出張先の国が発行した「出張先の国への渡航許可および滞在許可」です。外国に入国する場合は、到着した空港で入国審査官にパスポートとビザの2つを提示する事が原則です。(入国可否についは現地空港の入国審査官が最終的に判断します。ビザを持っていても必ず入国できるとは限りません)
一方で、多くの国は「日本のパスポート保持者に対しては、一定の条件を満たせばビザを免除する」としています。この「一定の条件」は国によって異なりますが、「短期の観光のための入国」や「短期の観光又は短期の商用のための入国」としている国が多いです。観光目的の入国に限ってビザ免除入国を認めている国もあるので、「過去に観光で行った時はビザ無しで入国したので、今回の海外出張もビザは不要」と短絡的に考えてはいけません。次の3つの観点からビザの必要性を調べる必要があります。
「短期の商用」目的でビザ免除での入国を認めているか
出張を予定している国が「短期の商用」目的でもビザ免除での入国を許可しているか、そして「短期」とは具体的に何日間なのか、について調査します。
出張内容が出張先の国が定める「商用」の範囲にあるか
今回の出張内容が、出張先の国が定める「商用」の範疇である事を確認します。現地での活動内容に「会議」や「商談」以外のものが含まれる場合は特に注意して調査する事が必要です。
製造業の方は、出荷した製品の現地での据え付け工事、試運転のために海外出張する場合もあるかと思います。この場合、「据え付け工事」「試運転」が「商用」とみなされるのかどうか、国により判断が異なると思います。このような出張の場合はビザ免除での入国可否について正確な情報の入手が必要です。
あなたにビザ免除で入国する資格があるか
「ビザ免除入国するための個人的条件」を調査します。例えば日本国内で犯罪歴、逮捕歴がある方や、過去に出張予定の国から入国拒否を受けたり不法滞在した事がある方に対しては、ビザ免除入国を許可していない国があります。
ビザが必要な場合は、出張先の国の在日大使館や在日領事館にビザ申請を行います。申請には多種の書類が必要だったり、大使館員等との面接が必要な場合があり、取得には時間を要します。
ビザの必要性判断とビザの発行は出張先の国が行うものなので、出張先の国、またはその国の在日大使館等から最新の情報を得る事が最も確実です。
電子渡航認証
上で述べたビザ免除で入国する場合でも、渡航を希望する方全員に対して電子渡航認証を必須としている国があります。例えば米国やオーストラリアがそうであり、その他にも電子渡航認証が必要な国があります。2022年からは欧州への入国でも電子認証が必要になるとの情報があります。
電子渡航認証の必要性と発行は出張先の国が決定するものなので、出張先の国、またはその国の在日大使館等から最新の情報を得る事が最も確実です。
私は米国とオーストラリアの電子渡航認証を取得した経験があります。自分でオンラインで申請しました。電子渡航認証の申請を代行する業者さんもありますので、出張前の多忙な時間をお金で買うこともできます。
カルネ手帳 (サンプル品の携行)
業務用物品の携行は海外出張が海外観光旅行と大きく異なる点の一つです。電機メーカーの方が新製品サンプルを持参して商談をする場合を念頭に一般論として記述します。「何を調査すべきか」についてのヒントとしてお読みください。正確ではない部分もあるかもしれませんので、専門家に相談することを含めて、ご自身の責任において実施してください。
業務で使用する物品を自らハンドキャリーして出張先の国に持ち込む場合も、「輸出入」ですので、日本と出張先の国の両方の税関に申告して関税等を納付する事が基本です。この場合の準備のヒントについて記載します。
輸出管理(安全保障貿易管理)
海外出張前は何かと多忙である事に加えて、携行する物品や業務内容が変更になる場合もあると思います。携行する業務用物品や出張先に提供予定の技術に対して、皆様の会社で実施している「輸出管理(安全保障貿易管理)」を忘れずに行って輸出可能な物品や技術である事を確認しましょう。
現在(2022年12月)は、紛争等の世界情勢が変化しているので、輸出管理の内容も変更されていくと思います。必ず最新の情報を入手して判断してください。
日本出国時
持ち出す物品の金額が低い場合は、出発当日の空港税関への簡易的な申告での手続きが可能です。一方、持ち出す物品の金額が高い場合は出発前に事前に税関に届け出ます。
具体的な基準金額、詳しい税関手続き、インボイスやパッキングリスト等についてはご自分で調査をお願いします。(参考:携行輸出に関する税関のホームページはこちらです。)
出張先国へ入国時
業務用物品を携行している場合は税関への申告と、原則として関税等の納付が必要ですので、支払いの準備をしておきます。必要な書類、手続きは国によって異なりますので、専門家や出張先の国の税関等から、確かな情報を入手する必要があります。
カルネ手帳 (商用サンプル等、日本に持ち帰る物品の場合)
業務用物品が商品サンプル等で、その全てを日本に持ち帰る(その国から日本等に再輸出する)予定の場合は、事前にATAカルネ手帳(台湾に出張する場合はSCCカルネ)の発行を受けられる場合があります(有料です)。カルネ手帳があれば、これを日本と出張先両国の空港税関に提示する事により関税支払いが不要となるとの事です。詳細についてはご自身で調査をお願いします(参考:カルネに関する税関のホームページはこちらです。)
また、持ち込む商品サンプルには、「サンプルである事を示す表示がなされている事」を規定している国もありますので、専門家や出張先の国の税関から確かな情報の入手が必要です。
長時間のフライト後に出張先の空港で、英語又は現地語で税関係官に事情を説明して税関手続きを行う事は、ストレスになりますし、通関に要する時間が読めないので、現地の空港到着当日の予定が立てづらくなります。その国の通関に関する知識も多少は必要で、係官に対する説明が不十分な場合は、追加調査のため携行している業務用物品をしばらく現地税関に留め置かれるリスクもゼロとは言えません(実例を聞いた事はありませんが、可能性としてはあると思います。)
これらのリスクを回避するためには、業務用物品の携行をしないで出張できるように、出張の可能性が生じた早い段階から、出張の全体計画を立てる事が有効です。業務用物品を携行する場合は、事前に専門家へ相談する事を強くお勧めします。
予防接種証明
主にアフリカや南米の国の中には入国時に黄熱病の予防接種証明書の提示が必要な国があります。これらの国に出張する場合はワクチンの予防接種が必要です。詳細は出張予定の国の日本大使館等で調査します。
また、入国に必須ではありませんが、ご自分にとって危険な病気が流行している国に出張する場合は、自分自身の健康のためにワクチンの予防接種を受けた方が良い場合もあると思います。詳細は医師と相談する事が必要です。(参考:ワクチン予防接種に関する厚生労働省検疫所FORTHホームページはこちらです。)
新型コロナ(COVID-19)ワクチンの予防接種については記載していませんので、ご自身で最新の情報を入手して対処してください。
留意いただきたい事項
海外出張の準備や税関申告、現地での業務はご自身の責任と判断で実施してください。このWebサイトに掲載された内容によって生じたトラブルや損害等については、一切の責任を負いかねます。このWebサイトの免責事項はこちらでお知らせしています。併せてご確認ください。