電検三種「電力」独学勉強手順
(元)電子技術者の私は「電力」科目の基礎知識が無いので、基礎の勉強に時間をかけました。ここが「理論」科目の勉強方法とは異る点です。具体的な勉強手順は以下のとおりです。
- 電検三種「電力」の参考書を熟読して基本を理解
- 動画サイトの電検三種受験動画で再度基本を学ぶ
- 電検三種「電力」の問題集を3周解く
- 過去問5年分を3周解く
初めて接する事項が多いだけに暗記する事項も多くありましたが、実社会で活用されている技術なので興味深く勉強する事ができたと思います。
独学STEP1. 参考書で基本を理解する
「強電」初学者なので、独学のために適切な参考書選びに注力しました。私が使用したのは「みんなが欲しかった 電検三種 電力の教科書&問題集」(TAC出版)です。この参考書は「教科書編」と「問題集編」の二部で構成されています。まず、教科書編を読んで理解していきました。主要な公式はノートアプリに記入して今後の復習に備えます。
この段階では「読んだだけ」なので「理解したが問題は解けない」状態ですが、「強電」勉強の第一歩なので、欲張らずに全体像の把握と詳細の理解を目標としました。
独学STEP2. 動画サイトで基本を学ぶ
YouTubeの動画を利用した勉強方法は「理論」の勉強方法と同じです(「理論」のページはこちらをクリック)。動画を視聴しながら同じ問題を自分でも解いていきました。初めての分野だけに、手を動かすことが理解につながります。
独学STEP3. 問題集を解く
ここから「重要項目の暗記」と「計算問題の解答力」をつけていきます。「電力」の勉強で一番時間がかかる部分です。参考書付属の問題集編を全問解いていきました。この問題集は回答の解説が詳しく記載されているので、解き方が解らない問題でも解説を読めば、なんとか正解まで到達できました。
問題集は3周解きました。1週目は正答率3割、2週目以降は前回不正解だった問題を解きました。3周目でも全問題の1割は正答できませんでしたが、仕上げは次のステップで行う事にしました。
独学STEP4. 過去問を解く
過去問に対する取り組みは「理論」の場合と同じです(「理論」のページはこちらをクリック)。3周目でも1割程度の問題は正解できないのも「理論」と同じですが、60点が合格ラインですからこれでOKとしました。
電検三種「電力」 電子技術者の関門項目
用語については覚えるしかありません。「水力発電の水車の名前」「架空送電路の構成部品」「避雷器の素材」等々、暗記すべき事項は多義に渡りますが、新しい技術領域を勉強するので避けては通れません。幸いにして送電線、配電線は実物が街中にあるので、この項目については実物を見ながら覚えていきました。
一方、計算問題の独学では理解と納得が重要です。次に述べる項目は、私が手こずった項目です。多くの電子技術者にとっても同じだと思いますので、心の準備の参考になると思い、列挙いたします。
フェランチ効果
平成24年 電力 問12が出題例です。「送電系の電圧をベクトル図で考える」のは初めてなので戸惑いました。参考書のベクトル図読み返して、自分でも作図する事により送配電系統におけるベクトル図の使い方を理解していきました。
パーセントインピーダンス
平成25年 電力 問17が出題例です。パーセントインピーダンスは、電子回路設計では使用しないので、まず概念の理解に時間を要しました。
複数の変圧器や送電線を経由する送電系統全体の挙動の計算に便利な考え方なので、類似問題を解き込んで便利さを実感していくと、理解が進みました。
充電電流
平成24年 電力 問11が出題例です。「充電」の考え方が電子回路と「強電」で異なるように感じました。電子回路では「コンデンサ等に電気エネルギーを注入していく」過渡現象のイメージが強いですが、「強電」では送電系統に電圧が印加されていて、これが安定継続しているイメージです。
送電損失
平成21年 電力 問10が出題例です。送電の損失については重要な公式が複数あります。三相交流技術の重要部分なので完全に理解したいところですが、試験本番で公式を導出する時間は無いと考えて、導出については参考書をサラッとよんで概念を理解し、公式自体は暗記しました。
線路定数
平成24年 電力 問16が出題例です。シンプルなLC回路なのですが、きっちりキルヒホッフ法則を用いて計算しようとすると、できそうでできませんでした。これには自分の年齢を感じました。時間をかけて類題を解いて解き方を整理しました。
電線の張力とたるみ
令和3年 電力 問16が出題例です。これは力学の領域なので、公式の導出過程の理解は最初から断念して、公式を丸暗記しました。
「電力」科目の国家試験結果
60点以上で合格のところ、自己採点で80点でした。
留意いただきたい事項
基礎知識や適した勉強方法には個人差があると思います。皆様が勉強方法を決める際は、ご自身の責任と判断で行っていただくようにお願いいたします。